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◆原則として遺留分侵害額請求の対象外
遺産分割の対象となるのは、原則として「遺産」、すなわち死亡時に被相続人の名義であった財産です。これに対して死亡保険金は「受取人固有の権利」だと考えられており、「遺産」には含まれません。したがって、生命保険金は、原則として遺産分割の対象にはなりません。
このことは遺産分割の場面だけでなく、遺留分侵害額請求の場面でも同じです。遺留分侵害額を算定するための基礎財産は、原則として「遺産」ですので、「遺産」に含まれていない死亡保険金は、遺留分算定の基礎には、原則として、なりません。
◆遺留分侵害額請求の対象となる例外
ただ、例外的なケースでは、亡保険金が遺留分算定の基礎に含まれて、遺留分侵害額請求の対象になる可能性があります。
最高裁判所は、平成16年10月29日の決定で、生命保険金について「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が同条の趣旨に照らして到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対象となると解する」と判断しています。
また、最高裁判所は、特別受益は遺留分算定の基礎に含まれ、減殺の対象になると考えています(最高裁判所第三小法廷・平成10年3月24日)。
そうすると、生命保険金の受取人が相続人の場合には、それが特別受益に準じて持戻しの対象となるケース(すなわち不公平が是認できないほど著しい場合)では、遺留分算定の基礎に含まれ、遺留分侵害額請求の対象になる可能性もありえると言えるのです。
◆遺留分侵害額請求の進め方
このように、例外的な場合とはいえ、生命保険金が遺留分侵害額請求の対象になることもあります。
そこで、生命保険金を遺留分侵害額請求の対象とする場合の具体的な進め方について、ご説明します。
遺留分侵害額請求をする場合、まずは法定相続人の数とそれぞれの法定相続分、遺言書の内容と遺産総額を確認します。そのうえで、遺留分に相当する金額と、遺言で取得できた遺産(全く取得できなかった場合にはゼロで計算)との差額を計算します。この差額分だけ、遺留分を侵害されたことになるので、この差額について、遺留分侵害額請求をすることになります。
この計算をする際に、原則としては、生命保険金は遺産には含まれず、計算には組み込まない(組み込めない)のですが、遺産総額に占める生命保険金の額が非常に大きい場合には、例外として、遺産に組み込んで計算することになります。
◆まずは千瑞穂法律事務所にご相談を
このように生命保険金が遺留分侵害額請求の対象に含まれるかどうか、その区別は難しい面があります。そこで、生命保険金が遺留分侵害額請求の対象となるかは、その点に詳しい弁護士に相談した方が良いでしょう。
千瑞穂法律事務所には、生命保険金が遺留分侵害額請求に含まれるかどうかに詳しい弁護士が在籍しています。ですので、生命保険金が遺留分侵害額請求の対象に含まれるかどうか等について、分からないことや困ったことがある場合には、まずは千瑞穂法律事務所にご相談下さい。