Archive for the ‘解決事例’ Category

公正証書遺言があっても遺留分争いが生じ、訴訟上の和解で解決した事案

2026-04-22

ご依頼者様

80代 夫婦(2名)

ご依頼内容

遺留分トラブル

相談時の状況

被相続人には娘が2名おり、依頼者はそのうちの一人の娘とその夫(被相続人と養子縁組済み)の夫婦です。2人は長年、農業と賃貸アパートの経営を被相続人とともに担ってきました。被相続人は将来の遺留分トラブルを見越し、公証人に相談しながら公正証書遺言を作成していました。山林の一部を他家に嫁いだ娘に、それ以外の遺産はすべて依頼者夫婦に相続させるという内容で、作成当時は遺留分の侵害が生じないよう計算されていたものです。ところが遺言作成から相続発生まで長い年月が経ち、依頼者夫婦が相続する財産の評価額が上昇した一方で、もう一人の娘が相続する山林が大規模な再開発計画の対象地となり、地権者に対して具体的な買収額まで提示されるという事態になりました。これを受けて、他家の娘が弁護士を立て、遺留分侵害額請求調停を家庭裁判所に申し立ててきました。依頼者夫婦はご自身で調停に臨んでいたものの、調停委員会の運営が相手方に傾いていると感じ、ご相談にいらっしゃった次第です。

ご依頼後の解決

代理人就任後、山林の評価額は再開発計画に基づいて地権者に提示された買収額を基準とすべきである旨の主張を行いました。双方に弁護士がついて法的な主張の応酬となったため、調停は最終的に不成立となりました。その後、他家の娘の側が地方裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起し、裁判での解決を図ることになりました。訴訟では依頼者夫婦の相続不動産について裁判所による鑑定が実施され、評価額の基準が定まりました。山林の評価については、再開発計画の買収提示はあったものの手続上の「仮換地」の段階には至っていなかったという事実を踏まえ、裁判所が双方の主張の中間的な水準を調整・提案しました。支払方法についても、判決では一括払いとなるところ、依頼者夫婦の資金調達の事情への配慮から分割払いが認められ、訴訟上の和解が成立して解決に至りました。

弁護士からのコメント

このケースは、被相続人が公証人に相談したうえで丁寧に公正証書遺言を作成していたにもかかわらず、相続発生までの長い年月のなかで財産の評価額が大きく変動し、結果として遺留分の争いが生じてしまった事案です。遺言書は、一度作成したからといって安心というものではなく、時間の経過とともに財産の状況や評価額が変わることがあります。このような場合に備えて、定期的に内容を見直し、必要であれば作り直すことが大切です。それと同時に、相手方が弁護士を立てて争いを仕掛けてきた場合には、ご自身だけで対応しようとすると、法的な主張の面でどうしても不利になってしまう場面が出てきます。このケースのように、再開発計画という特殊な事情が評価額に大きく影響するような問題では、なおさらです。調停の段階であっても、早めに弁護士に相談し、代理人を立てることで対等に主張を展開できるようになります。遺留分についてご不安のある方は、ぜひお早めにご相談ください。

口頭の”遺言”を盾にした不当な遺産分割提案を拒否し、審判で法定相続分を勝ち取った事案

2026-04-22

ご依頼者様

70代 男性

ご依頼内容

遺産分割(調停・審判)

相談時の状況

依頼者の叔母が亡くなり、遺産分割の問題が生じました。叔母には配偶者も子もいなかったため、兄弟姉妹が相続人となりましたが、依頼者の父は既に他界していたことから、依頼者が代襲相続人の一人として名を連ねることになりました。叔母の生前から家業の運営を担っていた親族グループは、「叔母が最後に残した言葉がある」として、その”遺言”を根拠に遺産のほぼ全てを自らが取得する内容の分割案を提示してきました。他の相続人の多くはこれに応じましたが、依頼者は母親を通じて叔母と交流があり、そのような”遺言”をするとは到底考えられないと感じていました。しかも、法的に有効な遺言書が存在するわけでもなく、親族グループが一方的にそう主張しているに過ぎなかったため、依頼者は提案への同意を拒みました。すると相手方は依頼者を相手方として遺産分割調停を家庭裁判所に申し立ててきたため、依頼者は弁護士である私に対応を依頼された、という事案です。

ご依頼後の解決

遺産分割調停において、相手方の親族グループは叔母の口頭の”遺言”の存在を強く主張してきました。これに対して私は、口頭での言葉は法的に有効な遺言にはあたらないこと、したがってそのような主張に法的な根拠はないことを明確に反論し、依頼者は法定相続分どおりに叔母の遺産を取得する権利があると主張しました。しかし、話し合いは平行線をたどり、遺産分割調停は不成立となりました。移行した審判手続において、審判官(裁判官)は依頼者側の主張を正当と認め、依頼者は叔母の遺産のうち法定相続分に相当する財産を正当に取得することができました。

弁護士からのコメント

親族が経営する会社が絡む相続では、事業を取り仕切ってきた側が主導権を握り、自らに有利な遺産分割を他の相続人に迫るケースが少なくありません。本件のように、「被相続人が死の間際にこう言い残した」という話を”遺言”として持ち出し、それをもとに遺産の大部分を自らが取得しようとする事例も、実際には珍しくないのです。しかし、法的に有効な遺言は、自筆証書や公正証書など、民法の定める方式に従って作成された遺言書によってのみ成立します。口頭で残された言葉がどれほど本人の意思を反映したものであっても、それだけでは遺言としての法的効力は生じません。このあたりは一般の方が誤解されやすい点ですし、残念ながら、その誤解を意図的に利用するケースも見受けられます。「遺言がある」と言われた場合は、まずそれが法的に有効な遺言書として存在するのかどうかを、早めに弁護士に確認されることをお勧めします。

自筆証書遺言が有効であることの確認を求め提訴し、勝訴的和解を勝ち取った事案

2025-07-11

ご依頼者様

40代 女性

ご依頼内容

遺言トラブル

相談時の状況

亡くなられた被相続人が、『遺産を相談者(=依頼者)に遺す』という趣旨の自筆証書遺言書を作成していましたが、財産内容については、曖昧な記載となっていました。この自筆証書遺言書は、家庭裁判所での検認手続を経たのですが、法定相続人のうちの一人が、『この遺言書には法的な効力がないから、法定相続分に従って遺産分割をしよう』と言い出しました。話し合っても解決できなかったため、法律相談に来られた、という事案です。

ご依頼後の解決

被相続人が作成した自筆証書遺言書が法的に有効であることを確認するための民事訴訟を提起しました。民事訴訟の手続において、自筆証書遺言書が無効であると主張していた法定相続人の一人との間で、裁判官を交えた「話し合いでの解決」の試みが行われました。その結果、基本的に自筆証書遺言書が法的に有効であることを前提としたうえで、一定の範囲内で他の相続人に対しても遺産を分割して引き渡すという内容の「勝訴的和解」が成立して、終了しました。

弁護士からのコメント

自筆証書遺言は、被相続人が書きたいときに自由に作成できるというメリットがありますが、法律の専門家に相談せずに作成されることも多く、実際に相続が発生した際に、遺言書の形式面や記載内容の面から、法的に有効であるか、それとも無効であるかの争いになることが少なくありません。争いになる場合、遺言の無効を求める側が訴訟提起する場合が多いのですが、本件では遺言が有効であることの確認を求める側から、訴訟提起しています。裁判官が積極的に和解成立のために関与した結果、和解での解決となりました。被相続人がそのような遺言書を書いた背景事情を詳しく調査し、そのことを相手方および裁判官に丁寧に説明したことで、相手方と裁判官の理解を得られ、「勝訴的和解」にたどり着くことができました。

家督相続が絡む複雑な家系における遺産分割で調停により、望む解決を実現できた事例

2025-07-11

ご依頼様

50代 女性

ご依頼内容

遺産分割

相談前の状況

本件では、戦前の家督相続や、戦後の小作農の自作農化による土地取得など、様々な経緯がありながら、不動産の相続登記がなされずに、法定相続人が複雑かつ多数、存在する状態になっていました。その上で、かつての婚姻関係の結果、大きく2つの家系に分裂していたために、双方の家系の考え方や言い分が異なり、遺産分割の協議がまとまっていませんでした。そこで、遺産分割調停を申し立ててほしいとの依頼があった事案です。

ご依頼後の解決方法

当方が遺産分割調停の申し立てを準備している間に、相手の方が先に、弁護士に依頼して遺産分割調停の申立を行い、家庭裁判所で遺産分割調停が開始されました。本家の土地、建物をどちらの家系が承継するか、離れた場所にある墓所をどちらの家系が承継するか、また具体的な分割案によれば、法定相続分と現実の分割割合とに不均衡が生じる点をどうするか、論争になりましたが、最終的には、当方の依頼者が望む形での遺産分割の方法で遺産分割調停が成立し、解決しました。

弁護士からのコメント

何らかの理由で、相続登記がなされずに、明治時代や大正時代に生まれた方(すでに死亡)の名義のまま放置されている土地・建物は、今でも多くあります。このような場合、子供、更には孫と、法定相続が進んでしまっているため、法定相続人が10名を超える状況になっていることも、少なくありません。今回の事例では、戦前の家督相続なども絡んでいたため、2つの「家」(家系)の争いになっていました。法定相続人が多すぎると、議論が複雑になるため、双方の家系で、相続分の譲渡により紛争当事者の数を、双方の家系を代表する各1人名(計2名)に集約しました。その結果、協議が進展し、調停成立に至った次第です。

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