ご依頼者様
80代 夫婦(2名)
ご依頼内容
遺留分トラブル
相談時の状況
被相続人には娘が2名おり、依頼者はそのうちの一人の娘とその夫(被相続人と養子縁組済み)の夫婦です。2人は長年、農業と賃貸アパートの経営を被相続人とともに担ってきました。被相続人は将来の遺留分トラブルを見越し、公証人に相談しながら公正証書遺言を作成していました。山林の一部を他家に嫁いだ娘に、それ以外の遺産はすべて依頼者夫婦に相続させるという内容で、作成当時は遺留分の侵害が生じないよう計算されていたものです。ところが遺言作成から相続発生まで長い年月が経ち、依頼者夫婦が相続する財産の評価額が上昇した一方で、もう一人の娘が相続する山林が大規模な再開発計画の対象地となり、地権者に対して具体的な買収額まで提示されるという事態になりました。これを受けて、他家の娘が弁護士を立て、遺留分侵害額請求調停を家庭裁判所に申し立ててきました。依頼者夫婦はご自身で調停に臨んでいたものの、調停委員会の運営が相手方に傾いていると感じ、ご相談にいらっしゃった次第です。
ご依頼後の解決
代理人就任後、山林の評価額は再開発計画に基づいて地権者に提示された買収額を基準とすべきである旨の主張を行いました。双方に弁護士がついて法的な主張の応酬となったため、調停は最終的に不成立となりました。その後、他家の娘の側が地方裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起し、裁判での解決を図ることになりました。訴訟では依頼者夫婦の相続不動産について裁判所による鑑定が実施され、評価額の基準が定まりました。山林の評価については、再開発計画の買収提示はあったものの手続上の「仮換地」の段階には至っていなかったという事実を踏まえ、裁判所が双方の主張の中間的な水準を調整・提案しました。支払方法についても、判決では一括払いとなるところ、依頼者夫婦の資金調達の事情への配慮から分割払いが認められ、訴訟上の和解が成立して解決に至りました。
弁護士からのコメント
このケースは、被相続人が公証人に相談したうえで丁寧に公正証書遺言を作成していたにもかかわらず、相続発生までの長い年月のなかで財産の評価額が大きく変動し、結果として遺留分の争いが生じてしまった事案です。遺言書は、一度作成したからといって安心というものではなく、時間の経過とともに財産の状況や評価額が変わることがあります。このような場合に備えて、定期的に内容を見直し、必要であれば作り直すことが大切です。それと同時に、相手方が弁護士を立てて争いを仕掛けてきた場合には、ご自身だけで対応しようとすると、法的な主張の面でどうしても不利になってしまう場面が出てきます。このケースのように、再開発計画という特殊な事情が評価額に大きく影響するような問題では、なおさらです。調停の段階であっても、早めに弁護士に相談し、代理人を立てることで対等に主張を展開できるようになります。遺留分についてご不安のある方は、ぜひお早めにご相談ください。

