諦めないでください。「財産はすべて長男に」という遺言書でも、あなたの正当な相続分(遺留分)は取り戻せます。

「広島の地で先代が築き上げた会社と財産のすべてを、家業を継ぐ長男に相続させる」

 ある日突然、ご家族が遺したこのような内容の遺言書を目にしたとき、あなたはどう感じるでしょうか。

 「親の意思だから仕方ない」「家業を守るためには当然だ」と自分に言い聞かせようとしても、「あまりにも不公平ではないか」「自分のこれからの生活はどうなるのか」という、やり場のない憤りや将来への不安を感じるのは、決して間違ったことではありません。

 特に、広島市やその周辺の広島都市圏で会社を経営されているご一族(オーナー企業)や、賃貸アパートなどの収益不動産を多く所有されている地主様・資産家の方々の相続では、事業承継や資産管理の都合上、特定の相続人に財産を集中させるケースが後を絶ちません。ご家族の繁栄を願っての決断であったとしても、結果として他のご家族が経済的に困窮したり、親族間に深い溝が生まれたりする「争続」に発展する事態は、決して被相続人が望んだ未来ではないはずです。

 もしあなたが相続で不公平を感じ、「遺産がもらえない」とお悩みなら、諦める必要はありません。法律は、そのような相続人のために、最低限の遺産の取り分として「遺留分」という強力な権利を保障しています。

 しかし、この権利を実現する道のりは、特に財産が高額・複雑になる富裕層のケースでは決して平坦ではありません。法的な知識はもちろん、裁判所がどのように判断するのかという「司法の視点」、不動産や株式の「正しい価値」、そして「税金」の問題まで、複合的な専門知識が不可欠となるからです。

 この記事では、広島の皆様が正当な権利を確実に実現できるよう、遺留分制度の基本から、富裕層の相続で特に問題となる論点、そして実際に権利を実現するための具体的な手続きまで、元裁判官・元公証人、そして現役の家事調停官という司法のプロフェッショナルと、各分野の専門家との強力な連携体制を持つ千瑞穂法律事務所が、その知見を余すことなく、深く、そして分かりやすく解説します。

このページの目次

富裕層・資産家の相続で頻発する「後継者への財産集中」と遺留分問題

(1)「全財産を後継者に」…なぜ富裕層の相続では不公平な遺言が生まれやすいのか

 なぜ、広島の資産家や経営者のご家庭では、特定の相続人に財産が集中する遺言が作成されやすいのでしょうか。千瑞穂法律事務所が数多くの親族経営の会社の顧問弁護士として、また資産家の皆様の相談役として関わる中で見えてきた、その背景にある特有の事情をご説明します。

ア 事業承継を円滑に進めるための「株式の集中」

 広島に根差した地場企業の経営者様にとって、事業承継は最大の経営課題です。千瑞穂法律事務所が顧問を務める多くの親族経営の会社でも、後継者へスムーズに経営権を移譲するため、会社の議決権の源泉である非上場株式をすべて後継者に相続させる、というご判断がなされます。これは経営の安定化のためには合理的な判断ですが、他の相続人の遺留分を侵害してしまう典型的なケースです。

イ 相続税対策や資産管理を目的とした「不動産の集約」

 広島市内の一等地に収益不動産をお持ちの場合や、複数の土地を所有されている場合、財産が分散すると納税資金の確保や管理が煩雑になります。千瑞穂法律事務所は不動産関連企業との連携も深く、このような賃貸アパートなどが含まれる紛争を数多く手掛けてきましたが、一族の資産価値を維持するために特定の相続人に資産を集約させたいという被相続人の想いが、しばしば他の相続人との不公平感を生んでいます。

ウ 先代からの慣習や特定の相続人への想い入れ

 「家は長男が継ぐもの」といった旧来の慣習や、「最後まで親の面倒を見てくれた長女に多くの財産を遺したい」という被相続人の特定の相続人に対する感謝や愛情が、遺言書の内容に強く反映されることも、人間として自然な感情でしょう。

(2)不公平な内容の遺言書は法的に有効か?無効を主張できるケースとは

ア 原則有効だが、「遺留分」までは侵害できないという法律の壁

 「遺言で全財産を長男に」と書かれていても、法律で定められた形式に則っていれば、原則として有効です。しかし、どれだけ有効な遺言書であっても、他の相続人が持つ「遺留分」という権利まで侵害することはできません。遺留分は、兄弟姉妹を除く法定相続人に保障された、いわば「相続のセーフティーネット」です。

イ 「遺言書 無効」を主張できるケースと具体的な手続き

 遺留分の主張の前に、そもそも遺言書自体が無効ではないかを確認することも重要です。千瑞穂法律事務所には、公証人を8年間務めていたベテラン弁護士が在籍しており、公正証書遺言を含め、どのような場合に遺言の有効性が問題となるか、その実務に精通しています。

【主な無効事由】

   方式の不備: 全文、日付、氏名の自書、押印といった形式が一つでも欠けている場合。

   偽造・変造: 筆跡が異なるなど、不正に作成・変更された疑いがある場合。

 遺言能力の欠如: 認知症などで判断能力がない状態で書かれている場合。公正証書遺言であっても、作成時の医師の診断書や介護記録などから、遺言能力が争点となるケースは少なくありません。

 もし遺言書の無効を主張する場合は、他の相続人との協議がまとまらなければ、家庭裁判所に「遺言無効確認調停」を、それでも解決しない場合は地方裁判所に「遺言無効確認訴訟」という手続きを取ることになります。この判断には専門知識が不可欠ですので、まずは弁護士にご相談ください。

あなたの「最低限の取り分」を取り戻す。遺留分侵害額請求の権利と計算方法

(1)遺留分とは?~相続人に保障された最低取得分~

ア 誰が遺留分を請求できるのか(遺留分権利者の範囲)

 遺留分を請求できるのは、配偶者、子(または孫などの代襲相続人)、直系尊属(父母など) です。被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

イ 【具体例でわかる】あなたの遺留分割合

 遺留分の合計は、相続財産全体の1/2(相続人が父母のみの場合は1/3)です。個々の遺留分は、これに各自の法定相続分を掛けて計算します。

設例】相続財産1億円、相続人が配偶者と子2人(長男・次男)のケース

 配偶者の遺留分:1億円 × 1/2 (総体的遺留分) × 1/2 (法定相続分) = 2,500万円

 子1人あたりの遺留分:1億円 × 1/2 (総体的遺留分) × 1/4 (法定相続分) = 1,250万円

 もし「全財産を長男に」という遺言があれば、配偶者と次男は、それぞれ2,500万円と1,250万円の遺留分を請求できることになります。

▼関連する記事はこちら▼
請求できる遺留分侵害額を知る方法(遺留分侵害額の計算の方法)

(2)【富裕層向け】遺留分計算を複雑にする3つの最重要ポイント

 富裕層の相続では、遺留分の基礎となる財産の計算が極めて複雑かつ専門的であり、ここが弁護士の腕の見せ所となります。千瑞穂法律事務所は、税務・不動産のプロフェッショナルとの連携により、いかなる財産についても正確な価値を算出します。

ポイント①:「生前贈与」も遺産に含めて計算する

 「生前贈与が多くて遺産が少ない」と諦めるのは早計です。後継者への事業資金や住宅資金などの特別な贈与(特別受益)も、遺産の計算に含めることができます。

 ただし、2019年の民法改正により、相続人への贈与は相続開始前10年以内のものに限られるというルールができました。この計算は非常に専門的なので、必ず専門家にご相談ください。

ポイント②:「不動産」「非上場株式」の正しい評価額が最大の争点

 富裕層の遺産の大半を占める不動産と非上場株式は、評価方法一つで遺留分額が数千万円単位で変わるため、最大の争点となります。

【不動産の評価と千瑞穂法律事務所の強み】

 相手方は税金計算用の低い「路線価」等を主張しますが、遺留分では実際の取引価格である「時価」で計算すべきです。千瑞穂法律事務所は、全国規模の大手司法書士法人「みつ葉グループ」と提携しているため、不動産登記等の実務に精通していることはもちろん、広島の不動産市場に詳しい不動産関連企業とのネットワークを活かし、適正な時価での評価を迅速に取得します。賃貸アパートなどの収益不動産が含まれる場合も、その収益性まで考慮した正確な価値を主張することが可能です。

【非上場株式の評価と千瑞穂法律事務所の強み】

 親族経営の会社の株式価値の評価は極めて専門的です。相手方(後継者)は顧問税理士と組んで低い株価を提示してきます。これに対抗するには、相続・事業承継に強い弁護士と税理士が連携して、適正な株価を算定し直す必要があります。千瑞穂法律事務所は、数多くの親族経営の会社の顧問弁護士を務めてきた実績があり、株式の争奪戦や評価を巡る紛争解決のノウハウが豊富です。さらに、税務署で相続税などの資産税分野を長年担当していた税理士が所属する税理士事務所と連携しているため、税務上の観点からも相手方の評価の妥当性を徹底的に精査し、的確な反論を展開できます。

ポイント③:生命保険金は原則対象外だが例外もある

 受取人指定の生命保険金は原則として遺留分の対象外です。しかし、あまりに不公平が著しい特段の事情がある場合には、例外的に遺産に含めて計算できる可能性があります。

【実践】遺留分侵害額請求の手続きと弁護士費用

(1)【要注意】遺留分侵害額請求の「時効」は1年。知らないと権利を失うことも

 遺留分侵害額請求には、非常に厳しい時間制限(時効)があります。

短期時効( 1年): 相続の開始と遺留分侵害の事実を知った時から1年で権利が消滅します。

除斥期間(10年): 事実を知らなくても、相続開始から10年で権利は完全に消滅します。

 「おかしいな」と感じたら、とにかく早く行動を起こすことが重要です。まずは証拠が残る「内容証明郵便」で請求の意思表示を行い、時効を止める手続きを取る必要があります。

(2)解決までの流れ~交渉・調停・訴訟~

ステップ1:相手方との直接交渉

 弁護士が代理人として、法的な根拠に基づき冷静に交渉します。

ステップ2:家庭裁判所での「遺留分侵害額の請求調停」

 交渉がまとまらなければ、広島家庭裁判所などで調停を行います。

ステップ3:地方裁判所での「訴訟」

 調停不成立の場合は、訴訟で裁判官の判断を仰ぎます。

(3)相続・遺留分問題にかかる弁護士費用

 弁護士への依頼を検討する際、多くの方が費用について不安に思われることでしょう。千瑞穂法律事務所では、ご依頼いただく前に必ず明確な費用体系をご説明しますのでご安心ください。

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遺留分侵害額請求をしたい方へ
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼するメリット

広島で遺留分問題に強い弁護士を選ぶ決定的な3つの視点

 遺留分問題、特に富裕層の複雑な事案を安心して任せられる弁護士を広島で探すには、どのような点に注目すべきでしょうか。以下に、千瑞穂法律事務所が皆様に選ばれる理由でもある、決定的な3つの視点をご提案します。

視点①:裁判官・調停官としての「司法の視点」を持っているか

 遺留分問題が交渉でまとまらなければ、最終的には調停や訴訟、つまり裁判所での手続きで解決することになります。その際、最も重要なのは「裁判官がどのように考え、判断を下すのか」を正確に予測し、それに沿った主張・立証を行うことです。

【千瑞穂法律事務所の強み①】元裁判官・元公証人の圧倒的な経験値

 千瑞穂法律事務所には、裁判官を35年間、公証人を8年間という長きにわたり務め上げたベテラン弁護士が在籍しています。数えきれないほどの相続事件を裁判官として判断してきた経験から、どのような証拠が決定的に重要か、どのような主張が説得力を持つかを熟知しています。この「裁判官の思考回路」を理解していることは、依頼者様の利益を守る上で、他には代えがたい大きなアドバンテージとなります。

【千瑞穂法律事務所の強み②】広島家庭裁判所の現役調停官による、地域の「今」の実務への精通

 さらに、千瑞穂法律事務所には広島家庭裁判所の現役の非常勤裁判官(家事調停官)を務める弁護士が在籍しています。これは、広島における遺留分や遺産分割の調停が「今、どのように進められているのか」という、最も新鮮で実践的な情報と感覚を持っていることを意味します。地域の司法の「今」を知り尽くしているからこそ、極めて的確な見通しを立て、戦略的な調停・訴訟活動を展開することが可能です。

視点②:税務・登記まで見据えた「ワンストップの連携体制」があるか

 富裕層の遺留分問題は、法律問題だけで完結しません。不動産の名義変更(登記)や、多額の金銭が動くことによる相続税・贈与税などの税務問題が必ず付随します。これらを別々の専門家に個別に相談するのは、依頼者様にとって大変な負担です。

【千瑞穂法律事務所の強み③】大手司法書士法人との連携による、不動産登記への迅速な対応

 千瑞穂法律事務所は、全国規模の大手司法書士法人「みつ葉グループ」の広島拠点と同一の事務所で、連携して運営されています。そのため、遺留分侵害額の支払いとして不動産を取得する(代物弁済)といった複雑なケースでも、権利関係の整理から不動産登記の手続きまで、極めてスムーズかつ迅速に対処できます。

【千瑞穂法律事務所の強み④】元税務署OB税理士との連携による、相続税問題への的確な対処

 私たちは、税務署で相続税などの資産税分野を長年担当していた国税OB税理士が所属する税理士事務所と緊密に連携しています。遺留分を請求する側・される側双方の税務リスクを正確に把握し、将来的な税負担まで考慮した最善の解決策をご提案します。相続税に関する不安も、まとめてご相談いただけます。

視点③:親族経営や不動産といった「富裕層特有の財産」に関する紛争解決実績が豊富か

 一口に遺産といっても、預貯金と、親族経営の会社の株式や収益不動産とでは、紛争の質も解決の難易度も全く異なります。

【千瑞穂法律事務所の強み⑤】親族経営の会社(非上場株式)の相続紛争に関する豊富な実績

 千瑞穂法律事務所は、数多くの親族経営の会社の顧問弁護士として、事業承継に伴う相続問題、特に株式の争奪戦や株式の評価を巡る紛争を数多く解決に導いてきました。会社の内部事情や経営権の問題まで踏まえた、現実的な解決策をご提案できるのが強みです。

【千瑞穂法律事務所の強み⑥】収益不動産が絡む相続紛争に関する豊富な実績

 不動産関連企業との連携を活かし、これまで賃貸アパートなどの収益不動産が含まれる相続紛争を数多く手掛けてきました。遺産分割までの賃料の管理・分配といった実務的な問題にも、的確に対応いたします。

広島で最高のリーガルサービスを。まずはお気軽にお問い合わせください

 「遺言で全財産を長男に」と書かれていても、決してあなたの権利が失われたわけではありません。しかし、その権利の大きさは、どの専門家と、どのような戦略で交渉・訴訟に臨むかによって、大きく変わってしまいます。

 千瑞穂法律事務所には、元裁判官・現役調停官としての深い知見と、司法書士・税理士という万全の連携体制、そして広島の富裕層・資産家の方々が直面する特有の問題を解決してきた豊富な実績があります。

 遺留分侵害額請求には「時効」という厳しい時間制限があります。一人で悩み、貴重な時間を無駄にしてしまうことだけは避けてください。あなたの正当な権利を守り、未来への不安を解消するために、私たちが持つすべての知識と経験を結集してサポートすることをお約束します。

 まずはお電話または当ウェブサイトの専用フォームから、お気軽にお問い合わせください。

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