「弁護士が解説」相続人が多数(多い)場合の遺産分割はどう進める?話し合いがまとまらないときの解決法

相続人が5人、10人、場合によっては20人を超えるケースが、近年珍しくなくなっています。子どものいない夫婦の一方が亡くなり、被相続人の兄弟姉妹やその子どもたちが相続人となるケース。長年放置されていた不動産の名義変更を進めようとしたところ、相続人が数十人に膨れ上がっていたケース。広島でもこのような相談が後を絶ちません。

相続人が多くなると、遺産分割は一気に難しくなります。誰に連絡を取ればいいかもわからない、連絡が取れても話し合いに応じてもらえない、認知症の方や未成年の方が混じっている。そのような状況で、どこから手をつければいいのか途方に暮れている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続人が多数いる場合によくある問題点と、その具体的な解決策を、弁護士の立場から詳しく解説します。

第1 相続人が多数になると起こる5つの問題点

1 遺産分割協議には全員の合意が必要

(1)「全員合意」の原則と民法907条

相続が発生したとき、誰がどの遺産を取得するかを決める手続きを「遺産分割」と言います。遺言書がない場合、相続人全員で協議(話し合い)を行い、全員の合意のもとで遺産の分け方を決めることになります。

民法907条1項は、「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条の規定による別段の意思表示がある場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる」と定めています。

ここで大切なのは、「全員で」という点です。相続人が3人であれば3人全員、10人であれば10人全員の合意が必要です。一人でも反対する人がいれば、協議は成立しません。

(2)一人でも欠けた協議は無効になる

「全員が集まれないから、わかる人だけで決めてしまおう」という話をよく耳にします。しかし、これは法律上認められていません。相続人の一部が参加しないまま行われた遺産分割協議は無効です。

たとえば、相続人が10人いるのに9人だけで合意したとしても、残りの1人が後から「私は参加していない」と異議を申し立てれば、最初からやり直しになります。相続人が多いほど全員の合意形成が難しくなるのはいうまでもありませんが、これが多数相続人案件における最大の壁のひとつです。

2 疎遠な親族・遠方の相続人との連絡や話し合いが難航する

(1)疎遠な親族への連絡を取ることの難しさ

相続人の中に、長年会ったことのない疎遠な親族が含まれることがあります。たとえば、被相続人に子どもがいない場合、相続人は配偶者と兄弟姉妹になります(民法889条1項)。さらに兄弟姉妹がすでに亡くなっていれば、その子ども(甥や姪)が代襲相続人として登場します(同法889条2項)。こうした方々とは、これまで一度も直接の接点がなかったというケースも珍しくありません。

連絡先がわからない場合は、戸籍の附票などで住所を調査する方法があります。しかし、住所がわかったとしても、突然連絡を取り、「遺産分割の話し合いに参加してほしい」と伝えることには、相手方に心理的な抵抗感が伴うこともあります。「そんな話は知らない」「なぜ今さら」と拒絶反応を示す方もいらっしゃいます。

(2)遠方在住者との話し合いの場の確保

相続人が北海道から沖縄まで全国各地に散らばっているケースもあります。全員が一堂に会して話し合うことは現実的ではなく、郵便や電話、あるいはオンラインでのやりとりが中心になります。しかし、感情的になりやすい遺産分割の話し合いを非対面で円滑に進めることは容易ではありません。

遠方の相続人が「わざわざ動く必要はない」と静観を決め込み、協議が何か月も前進しないというケースも実際に起きています。

3 判断能力が低下した相続人(認知症)がいる場合

(1)判断能力が低下した相続人は協議に参加できない

相続人の中に、認知症などで判断能力が著しく低下している方がいる場合、その方は自らの意思で遺産分割協議に参加することができません。

遺産分割協議は、各相続人が自分の意思で内容を理解し、合意する法律行為です。判断能力のない状態でなされた合意は、有効な法律行為として認められません。仮に「本人も同席していた」「本人も署名した」という状況であっても、その時点で判断能力が欠けていたと後から証明されれば、協議が無効と判断される可能性があります。

(2)成年後見制度の利用が必要になる

認知症の相続人が遺産分割協議に参加するためには、家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申し立てる必要があります。成年後見人は本人の代わりに法律行為を行う権限を持ち、遺産分割協議にも参加できます。

ただし、成年後見の申立てには一定の時間と費用がかかります。また、成年後見人が選任されるまでの間は協議を進めることができません。加えて、成年後見人は本人の利益を最大化するという観点から動きますので、必ずしも他の相続人が希望する分割方法に同意してくれるとは限りません。この点もあらかじめ念頭に置いておく必要があります。

4 未成年の相続人がいる場合

(1)親が代理人になれないケース(利益相反)

相続人の中に未成年者がいる場合、通常は親権者(父または母)が法定代理人として代わりに法律行為を行います。しかし、遺産分割においては、この「親が子の代理をする」という構図に落とし穴があります。

たとえば、父親が亡くなり、相続人が母親と未成年の子どもというケースを考えてみてください。この場合、母親と子どもは同じ遺産を分け合う立場にあります。母親が自分の取り分を多くすれば子どもの取り分は減り、逆もまた然りです。つまり、母親と子どもの利益は相反する関係にあります。

民法826条は、親権者と子との間でこのような利益相反が生じる場合に、親権者が子を代理することを禁じています。

(2)特別代理人の選任の申立てが必要(民法826条)

利益相反の状況では、親権者に代わって子どもの利益を守るための「特別代理人」を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。特別代理人は、子どもの代理人として遺産分割協議に参加し、子どもの法定相続分が適切に確保されるよう対応します。

特別代理人の選任の申立ては、親権者自身が家庭裁判所に対して行います。申立書の作成や添付書類の収集など、慣れない手続きに戸惑う方も多く、こうした場面でも弁護士のサポートが力を発揮します。

5 行方不明・連絡先がわからない相続人がいる場合

(1)戸籍調査による所在確認の方法

相続人の中に行方不明の方がいる場合、まず戸籍の附票を取得することで住民登録上の住所を確認するところから始めます。住民票の住所が最後の手がかりになることもあります。

しかし、長年にわたって行方がわからない場合や、住民票の住所に実際には住んでいない場合には、さらに踏み込んだ対応が必要になります。

(2)不在者財産管理人・失踪宣告の制度

行方不明の相続人がいる場合に活用できる制度として、「不在者財産管理人」と「失踪宣告」があります。

不在者財産管理人とは、家庭裁判所に選任された管理人が行方不明者の代わりに財産を管理し、遺産分割協議に参加する制度です(民法25条)。行方不明者の利益を守りながら、協議を前進させることができます。

失踪宣告は、7年以上生死が不明の場合(戦地にいる場合等の特別失踪では1年以上)に、家庭裁判所に申し立てることで、法律上「死亡したものとみなす」という効果が生じる制度です(民法30条・31条)。失踪宣告が認められれば、行方不明の相続人を除いた形で遺産分割を進めることが可能になります。

これらの制度を利用するには家庭裁判所への申立てが必要であり、専門家のサポートなしに手続きを進めることは容易ではありません。

第2 【要注意】放置すると「数次相続」が発生し、相続人がさらに増える

1 数次相続とは何か

(1)相続が重なる仕組みとそのリスク

「相続が発生したはいいものの、なかなか話し合いがまとまらないので、とりあえず放置している」という状況に陥っているご家庭は、実は少なくありません。しかし、遺産分割を放置することには重大なリスクがあります。

その一つが「数次相続」です。数次相続とは、最初の相続(一次相続)について遺産分割が完了しないうちに、相続人の誰かが亡くなることで、二次相続・三次相続と次々に相続が重なっていく状態を言います。

(2)放置するほど相続人が雪だるま式に増える

たとえば、Aさんが亡くなり、相続人が配偶者Bと子どもC・D・Eの4人だったとします。しかし話し合いがまとまらないまま10年が経過し、その間にBとCが亡くなってしまったとします。

この場合、BとCの相続人もそれぞれ発生しているため、最終的な遺産分割にはBやCの相続人も加わった形で行わなければなりません。放置すればするほど相続人の数は増え、話し合いはさらに難しくなるという悪循環に陥るのです。

当事務所と連携している司法書士法人みつ葉グループが担当した案件に、まさにこうした状況が現実になったケースがあります。広島県が公共工事に必要な土地を取得しようとしたところ、その土地の登記名義人が明治時代に生まれた方のままになっていることが判明しました。相続人を調査してみると、何代にもわたって相続が重なった結果、権利者が数十人にまで膨れ上がっていたのです。

はじめは司法書士法人みつ葉が連絡の取れる方に順次アプローチし、相続分の放棄に応じてくださる方から書面を取り付けるかたちで整理を進めました。しかし、それでも最終的には連絡がつかない方や、判断能力が低下している方が残ってしまいました。そこで、不在者財産管理人の選任手続きや成年後見の申立てが必要となり、さらには残った当事者の間で遺産分割調停・審判を経なければならない段階に至りました。途中から千瑞穂法律事務所が引き継ぎ、1つひとつの手続きを丁寧に進めていった結果、解決まで2年以上の時間がかかりました。

何代も世代が進んでいるため、当事者同士は「親族」とはいっても互いに全く面識がなく、まとまりのかけらもありません。相続実務に慣れた司法書士・弁護士の実務担当者でさえ「これは大変だ」と口にするほどの難しさでした。こうした状況になってしまっては、一般の方がご自身で対処することはまず不可能と言わざるを得ません。だからこそ、遺産分割は先送りにせず、できる限り早期に動き出すことが何より大切なのです。

2 相続登記の義務化と過料のリスク

(1)令和6年4月から施行された相続登記義務化

令和6(2024)年4月1日、不動産登記法の改正により、相続登記が義務化されました(不動産登記法76条の2)。

これまで相続登記は任意でしたが、同改正により、不動産を相続により取得した相続人は、自己のために相続が開始したことを知り、かつ、当該不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならないとされました。

令和6年4月1日より前に発生した過去の相続についても、同日から3年以内、すなわち令和9(2027)年3月31日までに申請が必要です。

(2)正当な理由なく放置した場合の10万円以下の過料

正当な理由なく相続登記の申請をしなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法164条1項)。

「過料」は刑事罰ではなく行政上の制裁であり、前科にはなりません。ただし、放置することで経済的な不利益を受けることは事実です。また、遺産の中に不動産がある場合、相続登記が完了しないと不動産の売却や担保設定もできません。

相続人が多数いるケースほど相続登記の手続きは複雑になりますが、だからこそ早期に専門家に相談し、解決を図ることが重要です。

第3 相続人が多い場合の遺産分割の正しい進め方

1 戸籍謄本を収集し、相続人を正確に確定する

(1)戸籍収集の手順と取得先

遺産分割を進めるうえで、まず欠かせないのが「誰が相続人なのか」を正確に確定することです。相続人を正確に把握しないまま協議を始めても、後から「別の相続人がいた」という事態になれば、すべてやり直しになりかねません。

相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍も含む)を収集し、婚姻・離婚・認知・養子縁組などの記録をすべて追っていく必要があります。現在の本籍地だけでなく、過去に本籍を置いていたすべての市区町村から取り寄せる必要があるため、この作業だけでも相当な時間と労力がかかります。

(2)代襲相続・数次相続がある場合の注意点

被相続人よりも先に相続人が亡くなっていた場合(代襲相続)、または相続開始後に相続人が亡くなっていた場合(数次相続)には、その相続人の戸籍も収集しなければなりません。

代襲相続の場合、亡くなった子どもの代わりにその子ども(孫)が相続人となります(民法887条2項)。また、兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪が代襲相続人となります(同法889条2項)。

このように、被相続人の相続人を正確に確定するためには、関係する多くの人々の戸籍を追いかける必要があり、戸籍収集だけで数週間から1か月以上かかるケースも珍しくありません。

2 財産目録を作成し、遺産の全容を把握する

(1)不動産・預貯金・株式など財産の種類ごとの調査方法

相続人が確定したら、次に行うのが遺産の調査です。どのような財産があるかを把握しなければ、分割の話し合いを始めることができません。

不動産については、固定資産税の納税通知書や名寄帳(市区町村が発行する固定資産の一覧)を取得することで全体像を把握できます。ただし、被相続人が複数の市区町村に不動産を持っている場合は、それぞれの自治体に問い合わせる必要があります。

預貯金については、被相続人が取引していた可能性のある銀行・信用金庫等に対して残高照会を行います。通帳が見当たらない金融機関があっても、被相続人名義の口座があれば、証明書類を提出することで残高を照会できます。

株式・投資信託等については、証券会社に対して相続手続き書類を提出して確認します。上場株式の評価額は日々変動するため、相続税申告との関係でも評価方法には細心の注意が必要です。

(2)相続税の申告が必要かどうかを確認する

遺産の全容が見えてきたら、相続税の申告が必要かどうかを確認することも重要です。相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

たとえば相続人が5人の場合、基礎控除は3,000万円+600万円×5人=6,000万円です。遺産の総額がこの金額を超える場合には、相続税の申告・納付が必要です。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割の話し合いが長引いていても、この期限は待ってくれません。相続税の申告が必要かどうかは、早めに税理士に確認することをお勧めします。千瑞穂法律事務所では、相続税に精通した税理士事務所と連携していますので、法律問題と税務問題をあわせてご相談いただくことが可能です。

3 他の相続人へ連絡を取る

(1)手紙・内容証明郵便・電話の活用

相続人の所在が判明したら、遺産分割協議への参加を求める連絡を取ります。疎遠な相続人への最初のアプローチとしては、手紙(書面)による丁寧な説明が有効です。突然の電話連絡は相手に警戒心を持たせることがあるため、まず手紙で状況を説明し、その後に電話で確認するという流れが一般的です。

なかなか返信がない場合や、協議への参加を渋っている場合には、内容証明郵便を送付することで「連絡した事実」を証拠として残す方法もあります。

(2)連絡がつかない・無視される場合の対処法

手紙を送っても返信がない、電話しても繋がらないという場合、自分たちだけで動き続けることには限界があります。このような局面では、弁護士に連絡・交渉の窓口を任せることが有効です。弁護士名で連絡が届くことで相手方の対応が変わり、協議のテーブルに着いてもらいやすくなることも少なくありません。

それでも応じない場合には、後述する遺産分割調停の申立てという手段があります。調停の申立てがなされると家庭裁判所から呼出状が届くため、無視し続けることが難しくなります。

4 遺産分割協議書の作成と全員の合意形成

(1)協議書に記載すべき事項と注意点

話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめます。遺産分割協議書には、誰がどの財産を取得するかを具体的かつ明確に記載する必要があります。

不動産については登記簿上の表示(所在・地番・地目・地積など)を正確に記載し、預貯金については金融機関名・支店名・口座番号・残高などを明記します。記載が不正確だと、後から手続きで使えないという事態になりかねません。

(2)全員の署名・実印・印鑑証明書の収集方法

遺産分割協議書が完成したら、相続人全員の自署(自筆の署名)と実印の押印が必要です。あわせて、各相続人の印鑑証明書も取得してもらう必要があります。

相続人が多数の場合、この署名・押印集めが最後の大きな関門になることがあります。遠方の相続人には書類を郵送してもらうことになりますが、記入漏れ・押印漏れが発生するたびに書類を送り直す手間が生じます。一度で正確に記入・押印してもらうためのわかりやすい案内文を添付するなどの工夫が必要です。

5 話し合いがまとまらない場合の法的解決手段

(1)遺産分割調停の申立て

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます(民法907条2項)。調停は、家庭裁判所の調停委員が中立的な立場から双方の意見を聞き、合意形成を支援する手続きです。

ア 申立先・申立書の記載内容

申立先は、相手方(他の相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所です。相続人が全国各地に散らばっている場合、申立人にとって遠方の家庭裁判所への申立てが必要になることもあります。申立書には、申立人・相手方の氏名・住所、被相続人の氏名・最後の住所・死亡日、申立の趣旨などを記載し、戸籍謄本や財産に関する資料を添付します。

イ 調停期日の流れと成立・不成立の場合

調停は原則として月に1回程度の頻度で期日が開かれ、複数回にわたる話し合いを経て合意を目指します。調停で全員の合意が得られれば「調停成立」となり、調停調書が作成されます。調停調書は確定判決と同じ効力を持つため、これをもとに相続登記等の手続きを進めることができます。一方、合意が得られなかった場合は「調停不成立」となります。

(2)調停不成立の場合は遺産分割審判へ

調停が不成立となった場合、自動的に「遺産分割審判」の手続きに移行します(家事事件手続法272条4項)。審判は、家庭裁判所の裁判官が証拠をもとに遺産分割の方法を決定する手続きです。当事者の合意は不要で、裁判官の判断により分割方法が確定します。

ただし、審判に対しては即時抗告(不服申立て)が可能であり、高等裁判所での審理に進む場合もあります。解決まで数年単位の時間がかかるケースもあることを念頭に置いておく必要があります。

だからこそ、「どうしても合意できない」という状況になる前に、早期に弁護士に相談し、当事者間の協議で解決できる可能性を探ることが大切です。

第4 相続人が多くてお困りの場合は、弁護士にご相談ください

1 弁護士が窓口になることで、親族間のストレスや感情的な対立を回避できる

(1)弁護士が代理人として各相続人と交渉

相続人が多い場合の遺産分割で特に問題になるのが、「感情的なしこり」です。普段付き合いのない親族と突然遺産を巡って交渉しなければならない状況は、誰にとっても精神的な負担が大きいものです。

弁護士に依頼すると、弁護士が依頼者の代理人として他の相続人と交渉します。依頼者が直接やりとりしなくてよくなるため、感情的な対立が生まれにくくなります。「言いにくいことを代わりに言ってもらえる」というだけでも、精神的な負担は大きく軽減されます。

(2)調停・審判の代理人として活動できる

家事調停官として裁判所の立場で調停を担当してきた経験から、率直に申し上げます。代理人弁護士がついている案件とそうでない案件では、調停の進み方に顕著な違いがあります。

まず、法律・判例・実務に関する知識の差があります。弁護士はこれらを熟知していますが、当事者本人はそうではありません。弁護士が代理人についていれば、法的な根拠を踏まえた議論ができるため、話し合いが実質的な方向へ進展しやすくなります。

次に、資料の整理・提出の問題があります。相続人が多数いる案件では、戸籍謄本・財産関係書類・通信記録など、膨大な資料が必要になることがあります。当事者本人だけでは、それらを適切に整理して裁判所に提出しきれないケースが少なくありません。仮に提出できたとしても、「この資料が何のために、何を証明するためのものか」が裁判所側に伝わらず、せっかくの証拠が活かされないことがあります。弁護士がいれば、資料を適切な形で整理し、どこをどう読むべきか、判断にどう役立つかを的確にまとめて提出するため、当事者の言いたいことが相手方にも裁判所にもしっかりと届きます。議論がかみ合い、主張の実現につながってきます。

そして、解決の「落としどころ」の感覚です。弁護士は多くの案件を経験することで、相場観を身につけています。調停での最終的な決着場面では、当事者として不満が残ることもあるものです。しかし、「ここが解決しどころだ」という判断を冷静に後押しできるのも、弁護士の大切な役割のひとつです。感情が先立ちやすい相続の場面では、この支えが解決の決め手になることが少なくありません。

こうした経験から、調停を活用する場面では代理人弁護士がついている方がよいケースが多いと、調停官として実感しています。

2 複雑な法的手続きをワンストップでサポート

(1)相続人調査・財産調査のサポート

戸籍の収集・相続人の確定・財産調査など、遺産分割の前段階にある作業は、専門的な知識がないと時間と労力がかかります。弁護士に依頼することで、これらの作業を効率的に進めることができます。

疎遠な相続人への連絡や行方不明者への対応なども、弁護士が代わって行うことができます。弁護士名で連絡が届くことで相手方の対応が変わり、話し合いのテーブルに着いてもらいやすくなることも少なくありません。

(2)成年後見・特別代理人・不在者財産管理人の申立て

認知症の相続人がいる場合の成年後見申立て、未成年の相続人がいる場合の特別代理人申立て、行方不明の相続人がいる場合の不在者財産管理人申立てなど、家庭裁判所への各種申立ては、弁護士が代理して行うことができます。

これらの手続きは書類の作成・収集が煩雑で、一般の方が一人で対応するのは容易ではありません。弁護士に一括して任せることで、スムーズに手続きを進めることが可能です。

3 千瑞穂法律事務所が選ばれる理由

(1)現役家事調停官の知見と実績(広島家庭裁判所)

千瑞穂法律事務所には、広島家庭裁判所の非常勤裁判官(家事調停官)として実際に調停を担当している弁護士が在籍しています。遺言・遺産分割・収益不動産が絡む相続トラブルの調停を数多く経験しており、調停がどのように進み、どのような主張が調停委員・裁判官に届くかを熟知しています。

この視点は、相続人が多い複雑な案件を早期に解決へ導くうえで、大きな力を発揮します。

(2)元裁判官・元公証人のベテラン弁護士が在籍

当事務所には、35年間裁判官を務め、その後8年間公証人として活躍したベテラン弁護士も在籍しています。裁判所の判断基準・思考方法を熟知した視点と、公正証書作成の実務に精通した知識は、相続案件の解決に直結します。

(3)みつ葉グループとの連携による不動産登記のスピード対応

相続人が多い案件では、遺産の中に不動産が含まれることも少なくありません。千瑞穂法律事務所は、全国大手司法書士法人「みつ葉グループ」の広島拠点と同一事務所内で連携しており、不動産登記などの不動産実務に迅速に対応できる体制を整えています。相続に伴う不動産の名義変更を、法律相談と並行してスムーズに進められるのは、当事務所ならではの強みです。

まとめ

相続人が多数いる場合の遺産分割は、一人の相続人が反対するだけで話し合いが止まってしまうという特有の難しさがあります。疎遠な親族への連絡、認知症や未成年の相続人への対応、行方不明者への措置など、問題が重なれば重なるほど手続きは複雑化します。そして、放置すれば数次相続によって相続人はさらに増え、解決はより困難になっていきます。

「まずは誰に相談すればいいのかわからない」という段階からでも、弁護士はご相談を承ります。早めに動き出すことが、最終的な解決への近道です。

遺言・相続・遺産分割についてご不安やお悩みがございましたら、まずはお気軽に千瑞穂法律事務所にご相談ください。広島市中区にて、相続問題に取り組む皆様のお力になれるよう、誠心誠意対応いたします。

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